「介護保険を使って借りられる福祉用具って、どんなもの？」「そもそも、購入とレンタルの違いは？」──そんな疑問をお持ちの方に向けて、本記事では福祉用具の基本から最新機器の活用法まで、やさしく丁寧に解説していきます。
年を重ねると、ちょっとした段差や移動も負担に感じるもの。そんなとき、自立した生活をサポートしてくれるのが福祉用具です。でも実際、「どれを選べばいいか分からない」「制度の仕組みが複雑」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、
- 介護保険でレンタル・購入できる用具の違い
- 高齢者の暮らしに役立つ最新のIoT福祉機器
- ケアマネジャーと連携して失敗しない選び方
- 実際に使ってみた人のリアルな声
など、多角的な視点で詳しくご紹介します。
「安心して暮らしたい」「家族の負担を減らしたい」と願うすべての方へ。最新の福祉用具を上手に活用し、今よりもっと快適で安心できる生活を始めませんか？
介護保険で借りられる福祉用具とは？基本からわかりやすく解説
介護保険を活用して利用できる福祉用具は、高齢者やその家族にとって「暮らしの安心」を支える重要なサポートツールです。この記事では、福祉用具とは何か、その対象や条件、介護保険で借りられるものと購入できるものの違い、さらに今注目されている最新のアイテムについても詳しくご紹介します。これから介護生活を始める方や、親の暮らしをサポートしたいと考えているご家族にとって、知っておきたいポイントをわかりやすく解説していきます。
そもそも福祉用具とは？対象者と利用条件をチェック
福祉用具とは、高齢者や障がいを持つ方が「日常生活を自立して送る」ために使う道具のことです。たとえば、歩行を助ける杖や歩行器、立ち座りを支援する手すり、入浴やトイレの介助に使う補助具などがあります。
介護保険を使って福祉用具を利用するには、いくつか条件があります。
- 65歳以上の方で介護認定を受けていること（第1号被保険者）
- 40歳以上65歳未満の方で、加齢に伴う特定疾病による要介護状態であること（第2号被保険者）
このような条件を満たしたうえで、自治体の認定を受けた「要介護度」に応じて、介護保険の適用が可能になります。認定後は、ケアマネジャーが本人の状態に合わせて福祉用具を提案してくれます。
ここで注意したいのは、「必要な人すべてが使えるわけではない」という点です。たとえば、要支援1・2の方は利用できる用具に制限がありますし、医療機関に入院中の方も介護保険の対象外です。
介護保険でレンタル可能な用具と購入対象品の違いとは
介護保険で福祉用具を使う場合、「レンタルできるもの」と「購入するもの」に分かれています。どちらになるかで費用や手続きが異なるため、違いをしっかり理解しておくことが大切です。
【レンタル対象品の一例】
- 車いす・車いす付属品
- 特殊寝台（電動ベッド）・付属品
- 歩行器、歩行補助つえ
- 床ずれ防止用具
- 移動用リフト など
【購入対象品の一例】
- 腰掛便座（ポータブルトイレなど）
- 入浴補助用具（浴槽手すり、入浴用イスなど）
- 簡易スロープ
- 排泄関連用品（尿器など）
- 移動用スロープ（段差解消用） など
レンタルは原則として毎月1割～3割の自己負担で利用できます。購入対象品の場合は、いったん全額を支払ってから、申請により自己負担分を除いた額が払い戻される「償還払い」となります。
この違いは、意外と知られていないポイントです。「レンタルの方が便利そう」と思っていても、対象外のものは購入しなければならないことも。逆に、購入するよりもレンタルの方が安く済むケースも多く、ケースバイケースで判断が必要です。
たとえば、電動ベッドのような高額商品はレンタルがおすすめですが、ポータブルトイレや入浴用具は衛生面からも購入が適しています。
実際に役立つ！生活を変える福祉用具の最新事例
最近では、従来の補助器具に加え、技術の進化により「IoT（モノのインターネット）」を活用した福祉用具も登場しています。これにより、単なる「道具」ではなく、「生活の質を大きく変えるテクノロジー」として注目を集めています。
【最新の注目福祉用具事例】
- 見守りセンサー付きベッド：夜間の離床を感知し、家族や介護者に通知。転倒リスクを大幅に軽減。
- 音声操作型介護ロボット：話しかけるだけで電気やテレビを操作したり、見守り通知を行う。
- スマート歩行器：歩行距離やスピードを自動記録し、健康状態のチェックが可能。家族のスマホと連携して見守りも。
たとえば、80代女性のAさんは、見守りセンサー付きのベッドを導入したことで、夜間の転倒がなくなり、家族の不安も軽減。「離れて暮らしていても安心できるようになった」と話しています。
また、スマート歩行器を使い始めたBさん（男性・78歳）は、自分の歩行ペースを可視化できることで「運動へのモチベーションが高まった」といいます。こうした最新アイテムは、単に安全を守るだけでなく、生活の意欲や自信を取り戻す力も持っています。
ただし、こうした最新機器を導入する際には「本人にとって使いやすいか」を見極めることが重要です。高齢の方の中には、デジタル操作が苦手な方もいます。専門の福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談しながら、無理なく取り入れることがポイントです。
介護保険で利用できる福祉用具は、今や単なる補助器具ではなく、シニアの自立や家族の安心を支える「生活の一部」として進化を続けています。これから福祉用具の利用を検討する方にとって、基本的な制度の理解と、最新機器の情報を知ることはとても重要です。家族でしっかり話し合い、必要に応じて専門家と連携しながら、最適な選択をしていきましょう。
失敗しない！福祉用具選びでよくある誤解とその対策
福祉用具を選ぶとき、多くの方が「何を基準に選べばいいのか分からない」と感じます。高齢の親のために最善の道具を用意したいと思っても、情報が多すぎて迷う方も多いはず。実は、福祉用具の選び方には“落とし穴”がいくつもあります。「高いものを選べば間違いない」「レンタルより購入がお得」「プロに任せておけば安心」——こうした思い込みが、かえって失敗につながることも。この記事では、よくある誤解とその対策を通して、納得のいく福祉用具選びのポイントを解説します。
「高価＝高性能」は本当？価格と効果の関係を見極める
まずありがちな誤解が、「値段が高ければ高性能で安心」という考え方です。確かに、最新機能が付いた高価な製品は魅力的に見えます。しかし実際には、「本人の状態に合っているか」が最も重要で、価格＝効果ではありません。
たとえば、電動で角度調整ができるベッドは高価ですが、「ベッドの上で長時間過ごす人」にとっては効果的。一方で、自分で起き上がれる人にとっては、シンプルな手動ベッドで十分なケースもあります。
また、歩行器に関しても、ハイエンドモデルにはブレーキ、収納、ライトなどの機能が搭載されていますが、外出頻度が少ない人には持て余してしまうことも。
ポイントは「目的と使用者の状態に合っているか」を基準に選ぶことです。高価な用具でも使いこなせなければ意味がなく、逆に安価なものでも生活が劇的に改善されることもあります。
【対策】
- ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に事前に相談する
- 自宅での使用場面を具体的にイメージする
- デモ機を試してから選ぶ（体験利用が可能な業者を選ぶ）
レンタルより購入がいい場合とは？状況別に徹底比較
「レンタルと購入、どっちが得なの？」という質問もよく聞かれます。介護保険では多くの用具がレンタル対象ですが、すべてに当てはまるわけではありません。
【レンタルが向いている場合】
- 期間が読めない長期的な使用（例：車いす、電動ベッド）
- 状態の変化が見込まれる（要介護度が変わる可能性がある）
- 故障やメンテナンスの心配を避けたい
【購入が向いている場合】
- 短期間の使用（数ヶ月程度）
- 衛生面が気になる用具（ポータブルトイレ、入浴補助具など）
- 軽度の状態で使い続ける予定がある場合（スロープなど）
たとえば、在宅での介護が長期にわたる場合、車いすや特殊寝台のように高額な用具をレンタルする方が経済的です。逆に、トイレ補助具など衛生面が気になるものは、購入して自分専用にするほうが安心です。
【対策】
- 使用期間と用途を明確にする
- 衛生面や交換頻度を考慮する
- 「購入しかできない」用具について事前に調査しておく
さらに、介護保険ではレンタル対象にならない用具を購入した場合、全額自己負担となるので注意が必要です。事前にケアマネジャーに相談し、保険の適用範囲を確認しておきましょう。
担当ケアマネジャーとの連携が左右する失敗と成功の分かれ道
意外と見落とされがちなのが、ケアマネジャーとの関係性です。福祉用具選びでは、介護保険制度の知識だけでなく、「利用者の生活をよく知る第三者の視点」が大きな役割を果たします。
よくある失敗例がこちらです。
- 「とりあえず必要そうだから」と自己判断で購入→本人に合わず使わなくなる
- ケアマネに相談せずにネットで購入→介護保険の対象外
- 業者任せにして選んだ→使い勝手が悪く不満が残る
これらはすべて、ケアマネジャーとの連携不足が原因です。ケアマネジャーは、利用者の心身状況、生活環境、家族の希望を総合的に判断して「最適な用具とその活用法」を提案してくれます。
【対策】
- 定期的にケアマネジャーとコミュニケーションをとる
- 用具の試用感や困りごとを正直に伝える
- 福祉用具専門相談員との三者面談も活用する
ケアマネとの信頼関係を築くことで、福祉用具選びだけでなく、介護生活全体がよりスムーズになります。また、専門職のネットワーク（理学療法士、作業療法士など）と連携することで、より高度な支援も受けられます。
福祉用具選びにおける「誤解」は、思わぬ出費や使いづらさ、介護負担の増加につながることがあります。でも、少し視点を変えて選び方を見直すことで、生活の質は大きく変わります。大切なのは、価格や広告に惑わされず、本人と家族の「リアルな暮らし」にフィットするかどうかを見極めること。そして、その判断を専門職と一緒に行うことが成功への近道です。
進化する福祉用具｜最新アイテムで変わるシニアの暮らし
テクノロジーの進化により、福祉用具はこれまでの「補助道具」から「自立支援ツール」へと進化を遂げています。特に2025年に注目されているのが、IoT（モノのインターネット）技術やセンサー機能を取り入れた福祉機器の数々。これらは単に生活の不便を補うだけでなく、高齢者が自分らしい暮らしを続けるための「生活の質（QOL）」向上に直結しています。ここでは、最新の福祉用具の具体例を取り上げながら、どのようにシニアの生活が変わりつつあるのかをわかりやすくご紹介します。
見守り機能付きセンサーやIoT福祉用具の驚きの進化
最近の福祉用具で最も注目を集めているのが、見守り機能付きセンサーやIoT福祉機器です。従来の「介護者が付き添う」スタイルから、「見守りながら自立を促す」スタイルへと変化しています。
たとえば、以下のような機器が登場しています：
- ベッドセンサー：就寝・起床・離床の動きをリアルタイムで通知し、夜間の転倒リスクを予防。
- 転倒検知センサー付きシューズ：転倒の兆候を察知し、スマートフォンに通知。
- 室内モーションセンサー：一定時間動きがない場合、家族や介護事業者にアラート。
これらの機器はすべて、スマホやタブレットでの操作が可能で、離れて暮らす家族にも安心感を提供します。さらに、高齢者自身が操作や確認を行える設計が進んでおり、「される介護」から「選べる生活」への転換を実現しています。
【注目データ】
2024年の総務省調査によれば、65歳以上のスマート機器利用率は約48.3%に達しており、デジタル福祉機器のニーズは確実に高まっています。
歩行器や手すりもここまで進化！2025年注目の新製品
IoT機器だけでなく、日常的に使う歩行器や手すりも大きく進化しています。特に2025年に話題となっているのが、次のような製品です：
- AIアシスト付き歩行器：歩行者のバランスをリアルタイムで検知し、自動でブレーキをかける機能を搭載。坂道での転倒を防止。
- 折りたたみ電動歩行補助機：コンパクトに収納でき、必要なときだけ電動アシストを起動。
- 照明内蔵型手すり：夜間のトイレ移動などを安全にサポート。人感センサーで点灯するため転倒リスクを軽減。
これらの製品は、単なる「補助具」ではなく、利用者の安全と快適さを高度に両立させる“スマート設計”になっています。
【現場の声】
在宅介護中の70代女性の声：「AI歩行器のおかげで、外出への不安がなくなりました。以前は付き添いが必要でしたが、今では1人でスーパーに行けています。」
“自立を支える”視点で選ぶ、使いやすい最新アイテムとは
最新の福祉用具選びで最も大切なのは、「便利さ」ではなく“自立を支える”という視点です。最新機器の中には機能が多すぎて、かえって使いづらいという声もあります。だからこそ、「誰が」「どこで」「どう使うか」にフィットした製品選びが重要です。
具体的な選定ポイントは以下の通りです：
- 操作が簡単か？（直感的なデザインか）
- 設置や収納はしやすいか？
- メンテナンスやバッテリー交換が自分または家族で対応できるか？
- 試用できるかどうか（体験サービスの有無）
たとえば、認知症初期の方に向けては「ワンタッチ通話ボタン付き見守りカメラ」や「室内を自動記録する行動分析センサー」などが選ばれています。これらは本人のストレスを最小限に抑えつつ、家族やケアチームに必要な情報を提供する設計になっています。
【専門家のアドバイス】
理学療法士のコメント：「福祉用具は“できないことを補う”のではなく、“できることを増やす”道具として選んでほしい。最新機器はその可能性を大きく広げています。」
福祉用具は今、単なる「介護の道具」ではなく、高齢者がより自由に、より安全に生活できるための“生活のパートナー”になりつつあります。技術の進化により、自立支援、転倒防止、見守りなど、あらゆる面で支援の幅が広がっています。最新アイテムに目を向け、まずは気軽に試してみることが、これからのシニアの暮らしをより豊かにしてくれる第一歩です。
介護保険を使うときの注意点｜後悔しないためのポイント
介護保険を利用すれば、高額な福祉用具やサービスも自己負担を抑えて使える…そんなメリットは多くの方が知っていますが、実は制度の活用には“落とし穴”もあります。申請のタイミングや事業者の選び方を間違えると、満足できない結果に終わってしまうことも。さらに、「なんとなく借りる」ことが原因で、本人の生活を圧迫してしまうケースも少なくありません。このセクションでは、介護保険を活用する際に見落としがちな注意点を具体的に解説し、「こんなはずじゃなかった…」を避けるための知識とコツをご紹介します。
申請のタイミングを逃すと損？知らないと損する制度の落とし穴
介護保険制度の最大の落とし穴の一つが、「必要になってから申請すればいい」と思ってしまうこと。実際には、介護保険は申請から利用までに1〜2か月かかることが多く、急に必要になったときには間に合わないケースもあります。
【よくある失敗例】
- 転倒して骨折→急いで歩行補助器を借りたいが、要介護認定がまだ出ておらず保険が使えない
- 認知症の進行で在宅介護に切り替えたが、申請が遅れて訪問介護が受けられない
【対策】
- 介護が必要かもしれないと感じたら早めにケアマネジャーに相談する
- 地域包括支援センターを活用し、制度の仕組みや手続きを事前に確認しておく
- 介護予防サービス（要支援の方が対象）も積極的に検討する
2024年の厚生労働省の調査では、「申請の遅れによるサービス利用の遅延を経験した人」は要介護認定者の13.5%にものぼるというデータがあります。
サービス提供事業者の選び方で満足度が大きく変わる理由
福祉用具のレンタルや介護サービスは、どの業者を選ぶかによってその質や対応、使いやすさに大きな差が出ます。特に、福祉用具は実際に使用してみないと分からない部分が多く、事業者の対応力やサポート体制が満足度を左右します。
【よくあるトラブル】
- 提案された商品が本人に合っておらず、使わなくなってしまった
- 契約内容に関する説明不足で、追加料金が発生した
- メンテナンスや交換対応が遅く、日常生活に支障をきたした
【選ぶときのポイント】
- 実績が豊富で、地域の評判が良い事業者を選ぶ
- 体験・試用が可能かどうかを確認
- 契約書の内容を丁寧に説明してくれるかどうか
- 「本人の生活目標に沿った提案」ができる事業者を選ぶ
ケアマネジャーは複数の事業者と連携していることが多いので、「どんなところが親切？」「対応が早いのはどこ？」といった情報を積極的に聞くこともおすすめです。
「とりあえず借りる」は危険？目的に合わせた活用法が重要
介護保険で福祉用具をレンタルできるからといって、「とりあえず借りてみるか」という選び方は非常に危険です。目的や本人の状態に合っていない用具は、逆に生活を不便にしたり、転倒などのリスクを高めることもあるからです。
【具体例】
- 必要以上に大きな歩行器を使ってしまい、室内での移動が困難に
- 本人の筋力に合わない補助器具で、かえって歩行能力が低下
【適切な活用法】
- 福祉用具は「何のために使うか」を明確にして選ぶことが基本
- ケアプランに連動して、段階的に道具を導入・変更する
- 利用者本人の「できること」を伸ばす視点を忘れない
厚生労働省のガイドラインでも「過剰な用具の導入は、利用者の活動意欲を損なう可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
介護保険を上手に活用するには、申請のタイミング、事業者の選定、福祉用具の目的明確化という3つの視点が不可欠です。「制度があるからなんとなく使う」ではなく、「どんな生活を送りたいか」から逆算して、必要な支援を設計することが重要です。介護保険はあくまで生活の質を高めるためのツール。後悔しない選択のためには、日頃から情報収集と専門家との連携を心がけましょう。
利用者のリアルな声から学ぶ！福祉用具のメリットと課題
介護やサポートが必要になったとき、実際に福祉用具を使った方々の声は、これから利用を検討する人にとって何より参考になります。カタログや説明書だけでは分からない“現場のリアル”には、役立つヒントと同時に注意すべきポイントもたくさん詰まっています。この章では、実際の利用者や家族の体験談をもとに、福祉用具がもたらす変化、予期せぬ落とし穴、そして成功のカギを徹底解説していきます。
導入して良かった！生活の質が上がった体験談
福祉用具が「単なる便利グッズ」ではなく、自立支援のツールとして大きな効果を発揮することは、数多くの利用者の声からも明らかです。
【事例①：歩行補助杖で外出が楽しみに】
80代の女性Aさんは、膝の痛みで外出が億劫になっていました。ケアマネジャーの提案で軽量の歩行補助杖を導入したところ、バスで買い物に行けるようになり、週に2回のデイサービス参加も自ら希望するように。
【事例②：昇降機能付きベッドで家族の介護負担が軽減】
寝たきりの父親を自宅で介護しているBさんは、介護ベッドを導入したことで、体位変換や起き上がりの介助が格段に楽になりました。腰痛に悩まされていた日々から解放され、家庭内の雰囲気も明るくなったと語っています。
【共通するポイント】
- 福祉用具が「できないことを補う」だけでなく、「できることを増やす」方向で導入された
- ケアマネジャーとの連携により、本人の希望や生活スタイルに合った選択ができた
- 試用・フィッティングを経て、納得したうえで導入された
こうした声からも、正しい使い方と適切な選択ができれば、福祉用具は生活の質を確実に高めてくれることが分かります。
想定外の不満も…実際にあったトラブルとその回避法
一方で、「こんなはずじゃなかった…」という声も少なくありません。特に注意が必要なのは、導入前の確認不足や説明不足によるトラブルです。
【事例①：サイズが合わず廊下を通れない歩行器】
Cさん（70代男性）は、室内用の歩行器をレンタルしたが、住まいの廊下が狭く、方向転換ができない。結局使わず、部屋の隅に放置。
【事例②：使用方法が難しくて不安に】
認知症の母親のために見守りセンサーを設置したDさん。しかし通知が頻繁すぎて逆に混乱。説明が不十分だったため、設定を変更できずに1か月で撤去。
【トラブル回避のポイント】
- 試用期間を設け、実際の生活空間での使用感を確認する
- 使用する本人が操作や機能を理解できるかどうかを確認
- 家族や専門職と共有し、設定や不具合対応ができる体制を整える
また、総務省の2023年「高齢者向けIoT機器の利便性に関する調査」でも、「初期設定が難しい」との声が全体の27.3%を占めており、技術的なハードルの低減が今後の課題であることが示されています。
本人・家族・専門職が協力してこそ活きる福祉用具の力
福祉用具の効果を最大限に発揮させるためには、本人だけでなく、家族やケアマネジャー、福祉用具専門相談員といった周囲の協力が不可欠です。
【成功するパターン】
- ケアマネジャーが本人の生活目標をしっかりヒアリング
- 福祉用具の選定時に本人・家族・専門職の3者が揃って試用
- 使用開始後も定期的に評価と見直しを実施
【逆に失敗しやすい例】
- 家族が良かれと思って選んだ用具を、本人が嫌がって使わない
- 専門職との連携がなく、介護環境全体がチグハグに
- 一度導入した用具を、そのまま何年も見直さずに使い続ける
福祉用具は、“一度導入すれば終わり”ではありません。生活や身体状態の変化に応じて見直し、アップデートしていくことが重要です。そのためにも、定期的なモニタリングや福祉用具専門員によるアセスメントを取り入れることをおすすめします。
福祉用具の導入は、単なる「モノ」の選定ではなく、その人らしい生活を支える仕組みづくりの一環です。使ってよかったという声もあれば、失敗や不満の声もあります。しかし、どちらの事例にも共通しているのは、「本人の視点」「家族の支援」「専門職の連携」が揃ってこそ、福祉用具の力が最大限に発揮されるということ。これから導入を考える方は、リアルな声をヒントに、自分たちにとって最適な使い方を探っていきましょう。
まとめ
介護保険を活用して利用できる福祉用具は、ただの「便利グッズ」ではありません。高齢者の自立を支え、家族の介護負担を軽減し、そして何よりも「安心して暮らすこと」を可能にしてくれる、生活に欠かせない大切なアイテムです。
この記事では、介護保険の対象となる福祉用具の種類や、レンタルと購入の違い、そして実際に暮らしを大きく変える最新の福祉機器について、具体例を交えてご紹介しました。また、よくある誤解や失敗例、さらにはケアマネジャーとの連携の重要性についても触れました。
特に近年は、IoT（モノのインターネット）技術を活用した福祉用具や、見守りセンサー、音声操作可能な介護機器など、技術の進化によって「介護＝大変」というイメージが変わりつつあります。こうした最新機器は、利用者の安全性を高めるだけでなく、介護する側にとっても「気づき」や「安心」を与えてくれる存在になっています。
一方で、どんなに優れた福祉用具でも、使い方を間違えたり、目的に合っていないものを選んでしまうと、かえって不便になったりトラブルにつながることもあります。
たとえば「高価なもの＝性能が良い」と思い込んで選んだ結果、使いこなせず置きっぱなしになることも。あるいは、「とりあえず借りたけど合わなかった」という声も少なくありません。
だからこそ、選ぶ際には以下の3つの視点が大切です。
- 本人の状態や生活環境に合っているか
- 介護する家族や支援者の意見も取り入れているか
- ケアマネジャーなど専門職とよく相談できているか
この3点を意識することで、福祉用具は「単なる道具」から「暮らしを支えるパートナー」へと変わっていきます。
また、介護保険を利用するには申請や認定が必要です。制度の落とし穴を避けるためにも、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しておくことをおすすめします。「まだ早いかな」と思うタイミングでも、話を聞いておくだけで、いざという時にスムーズに対応できます。
さらに、実際に福祉用具を使った方々の体験談からも、多くの気づきが得られます。
「生活が楽になった」「転倒が減った」「家族とケンカが減った」など、具体的な効果を知ることで、自分たちの暮らしにもどう取り入れられるかのヒントになります。反対に、「こんなことに困った」「もっとこうすればよかった」というリアルな声も、失敗を防ぐために非常に役立ちます。
介護保険で利用できる福祉用具は、制度や商品が複雑に感じられるかもしれません。けれども、しっかりと情報を集め、自分たちの状況に合った選択をすることで、これからの暮らしが大きく変わります。
大切なのは、「とりあえず使ってみる」ではなく、「どう使えばより快適になるか」を考える視点です。
福祉用具は「高齢者のためのもの」ではなく、「家族みんなが安心して暮らせるためのツール」です。ぜひこの記事を参考に、制度を上手に活用し、より安心で快適な暮らしを実現してください。
もし迷ったら、一人で悩まずに専門家に相談を。あなたの生活に本当に役立つ福祉用具が、きっと見つかるはずです。
